54.敷金と礼金はどう違う?初めての部屋探しで知っておきたい言葉
賃貸物件を探していると目にする「敷金」と「礼金」。
どちらも契約時に支払うことがあるため、似た費用だと思われがちですが、その役割は異なります。
「退去すると返ってくるのはどちら?」「敷金・礼金なしなら、初期費用はかからない?」など、初めての部屋探しでは疑問も多いのではないでしょうか。
今回は、敷金と礼金の違いや、契約前に確認したいポイントをわかりやすくご紹介します。
敷金は、家賃などの支払いを担保するために預けるお金
敷金は、家賃の未払いなど、賃貸借契約に基づいて借主が負う金銭の支払いを担保するために、貸主へ預けるお金です。
契約が終了してお部屋を明け渡した後、未払いの家賃や借主が負担すべき原状回復費用などがあれば、それらを差し引いた残額が返還されるのが基本です。
そのため、「敷金は必ず全額返ってくる」「退去時に必ず全額使われる」というものではありません。
何を差し引くのか、どのように精算するのかを確認することが大切です。
礼金は、敷金のような預かり金ではありません
礼金は、賃貸借契約に際して貸主へ支払う一時金です。
敷金とは異なり、家賃の未払いや退去時の費用に備えて預けるお金ではなく、通常、退去時には返還されません。
例えば、敷金1か月・礼金1か月の物件では、同じ金額を支払う場合でも、それぞれのお金の役割が違います。
契約時には、金額だけでなく「預けるお金なのか」「返還されない費用なのか」も整理しておきましょう。
敷金と礼金を比べてみましょう
| 敷金 | 礼金 | |
|---|---|---|
| 主な役割 | 家賃などの支払いを担保するための預かり金 | 契約に際して貸主へ支払う一時金 |
| 退去時の扱い | 借主が負担すべき費用などを差し引き、残額を返還するのが基本 | 通常は返還されない |
| 確認したい点 | 控除する費用、精算方法、返還時期、特約 | 金額や支払い条件 |
物件や地域によっては、「保証金」「敷引き」「償却」などの言葉も使われます。
名称だけで判断せず、どのような性質のお金で、いくら返還される取り決めなのかを確認しましょう。
敷金の精算で出てくる「原状回復」とは?
退去時の敷金精算で、よく出てくるのが「原状回復」という言葉です。
これは、住んでいたお部屋を、何でも新品の状態に戻すという意味ではありません。
一般的には、通常の使用に伴う損耗や経年変化は貸主側の負担、借主の故意・過失や通常の使用を超える使い方による損傷などは借主側の負担という考え方が基本です。
ただし、クリーニング費用などに関する特約が設けられている場合もあります。特約は、記載があればどのような内容でも当然に有効になるわけではありませんが、契約前に説明を受け、内容を理解しておくことが重要です。
敷金の精算例を見てみましょう
仮に、預けた敷金が70,000円で、借主が負担することが確認された費用が25,000円、ほかに未払いなどがなければ、返還額は45,000円という計算になります。
反対に、借主が負担すべき費用が敷金を上回る場合は、追加の支払いが必要になることもあります。
つまり、敷金の金額が退去時の負担の上限になるわけではありません。
※上記は計算方法を示すための例です。実際の費用負担は、契約内容や室内の状態などにより異なります。
「敷金・礼金なし」でも、初期費用がゼロとは限らない
敷金・礼金のない物件は、契約時の負担を抑えたい方にとって候補になります。
ただし、次のような費用が別途必要になる場合があります。
- 前払いの家賃や管理費・共益費
- 仲介手数料
- 保証会社の利用料
- 火災保険などの保険料
- 鍵交換費用
- 契約で定められたクリーニング費用など
また、敷金を預けない契約でも、退去時に借主が負担すべき費用が発生すれば、その支払いは必要です。
「敷金・礼金なし」という表示だけで決めず、契約時・毎月・退去時の費用を分けて確認しましょう。
初期費用だけでなく、住む期間全体で比較
初期費用が低い物件と、毎月の家賃が低い物件では、住む期間によって総額が変わります。
例えば、礼金がかからなくても、別の物件より月々の支払額が高ければ、長く住むうちに差が広がることがあります。
比較するときは、次の費用を整理してみましょう。
- 契約時に支払う費用
- 家賃などの毎月の費用
- 更新時に必要となる費用
- 退去時に見込まれる費用や契約条件
敷金は返還の可能性がある預かり金なので、礼金などの返還されない費用と分けて考えると、比較しやすくなります。
入居時の記録が、退去時の確認に役立ちます
敷金の精算で行き違いを防ぐために、入居時のお部屋の状態を記録しておきましょう。
床の傷や壁紙の汚れ、設備の不具合などを写真やメモに残し、気になる点は早めに管理会社へ伝えます。
写真は、傷の近くを撮るだけでなく、どの部屋のどの場所なのかわかる写真も一緒に残すと確認しやすくなります。
国民生活センターも、入居時と退去時に、できる限り貸主側と一緒に室内の状態を確認し、記録することを勧めています。
契約前に確認したいポイント
敷金・礼金については、次の項目を確認しておくと安心です。
- それぞれの金額はいくらか
- 「○か月分」は、何を基準に計算しているか
- 敷金から差し引く費用について、どのような取り決めがあるか
- 敷引きや償却の条件があるか
- クリーニング費用などの特約があるか
- 敷金の精算・返還は、いつ、どのように行われるか
退去時に差し引かれる費用に疑問がある場合は、明細と説明を求めましょう。内容がわからないまま、精算書に同意しないことも大切です。
お金の役割を知って、納得できるお部屋選びを
敷金は、家賃などの支払いを担保するために預けるお金。礼金は、契約に際して支払う、通常は返還されない一時金です。
似たタイミングで支払う費用でも、その役割は異なります。
初期費用の合計だけでなく、それぞれの内訳や退去時の条件まで確認して、納得できる住まい選びにつなげましょう。

